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キャッシュレスの“ラストワンマイル”を切り拓く!小さな声に寄り添う、エム・ピー・ソリューションの技術と情熱
投稿日 2025年5月21日 14:00:46 (IT 科学)
自治体や地方のタクシー業界、短期開催イベントなど、多くの企業が見過ごしがちなフィールドで、着実にキャッシュレスの未来を築いている企業がある。それが今回取材した株式会社エム・ピー・ソリューションだ。決済の仕組みは日々進化を続けているが、最新技術がすぐに全ての場所に浸透するわけではない。
特に小規模事業者や地域密着型の事業体では、予算や人材の制約から導入が進まず、“キャッシュレス途上エリア”となっている現状がある。そんな中、現場の実情に寄り添いながら、導入ハードルを下げ、利用者と提供者双方にとって使いやすい仕組みを提供する同社の存在意義は極めて大きい。
本記事では、管理部門から広報までを兼務し、現場との距離が近い同社管理部管理課の井上萌恵氏にインタビューを実施。キャッシュレス導入の舞台裏や、業界ならではの面白さ、現場からの声に基づいたサービス改善、そして将来に向けた展望についてじっくりと聞いた。テクノロジーと人間らしさの交差点で、いま何が起きているのか、その最前線に迫った。
■キャッシュレス業界との出会いと現在の業務
―― まずご自身のご経歴と現在の担当業務について教えてください。
井上氏:2019年に結婚を機に東京へ移住し、当社に入社しました。前職では京都で証券営業に従事しており、「お金にまつわる仕組み」や「金融を通じて人と関わること」に強い関心を抱いていました。その関心が、キャッシュレスという進化する分野への挑戦へとつながりました。入社後は管理部門で総務・労務・採用を担当し、2024年からは広報活動も兼務しています。日々の業務は多岐にわたりますが、一貫して“人と仕組みの橋渡し”が自分の軸になっていると感じています。
―― キャッシュレス業界に入るきっかけは?
井上氏:結婚を機に東京へ転居したタイミングで、これまでとは違う視点から“お金に関わる仕事”をしたいと思いました。証券営業の経験を活かしつつも、よりリアルな日常に寄り添える分野としてキャッシュレス業界を選びました。決済という日々の営みに深く関わるこの仕事は、技術の最前線に立ちながらも、人の暮らしに寄り添う現場感があり、非常に魅力的だと感じています。
―― この業界ならではのやりがいや面白さは?
井上氏:キャッシュレスはユーザーにとっては便利なものですが、導入する側の負担や不安も大きいです。特に小規模事業者や自治体では「どうやって導入するのか分からない」「対応できる人材がいない」といった声を多く聞きます。そうした“見えないハードル”を一緒に乗り越えることができたとき、「本当に助かった」「意外と簡単だった」という声をいただけるのが、この仕事の何よりのやりがいです。技術の導入だけでなく、心の壁を取り払うことが私たちの役割だと感じています。また、各担当者が現場での経験を社内にフィードバックし、新しいサービス改善にもつなげる「現場起点のものづくり」ができる点も魅力です。
■会社の歩みと独自性あるサービス群
―― 御社の事業概要と設立背景を教えてください。
井上氏:弊社は2006年に設立され、まもなく20周年を迎えます。創業のきっかけは、日本自動販売協会のキャッシュレス化プロジェクトに参画したこと。初期は飲料自販機向けの「JMMS(ジェイエムエムエス)」という決済サービスを中心に展開し、その後、ランドリー、ロッカー、有人店舗、自治体、イベントなど、さまざまな業態・業界にサービスを広げてきました。現在では、JMMSをはじめ「KAZAPi(かざっぴ)」「ジハトク」など複数のサービスを展開しています。各サービスには、現場目線で改良を重ねた機能が盛り込まれており、単なる決済を超えた“現場の業務改善パートナー”としての位置づけを築いています。
―― 他社と異なる強みはどこにあるのでしょうか?
井上氏:私たちの一番の特徴は、大手企業が手を出しにくい分野に積極的に挑戦していることです。例えば「自治体の公共料金支払い」や「1日限りのイベント決済」、「地方タクシーの運賃支払い」など、一見すると収益性が低いと思われがちな分野ですが、地域に根差した課題解決が求められている現場です。
私たちは“キャッシュレスのラストワンマイル”を埋める存在として、こうした領域に丁寧にアプローチしています。レンタル形式での端末提供、現場主導でのUI改善、丁寧なサポート体制などが評価されています。また、イベント現場では電源環境の違いや動線に応じて機材配置を最適化するなど、単なる“機器の提供”にとどまらない対応力が評価されています。
―― サービスの具体的な活用事例を教えてください。
井上氏:たとえば、さっぽろ雪まつりでは高回転が求められる屋台にFeliCa決済が高速にできる「KAZAPi」を導入し、瞬時の会計を実現しています。また「KAZAPi-QR」は、掲示物のスペースのないイベント会場で、オリジナルQRコード一枚で複数のQRコード決済に対応しているため、スペースや人手が限られた現場で特に重宝されています。
さらに、QRコードを使ったプロモーションとしても活用できる「ジハトク」は、例えば、駅のポスターに掲示されたQRコードを読み取りアンケートに回答→発行された専用のQRコードによって自販機で商品を受け取ることができる──という動線を実現しています。最近ではホテルのウェルカムドリンクの提供や、オフィス内福利厚生としてのドリンク支給システムにも応用されています。これはマーケティング×決済の先進例として注目されています。

■現場と制度を繋ぐキャッシュレス推進のリアル
―― キャッシュレス市場の現状についてどう見ていますか?
井上氏:政府の統計ではキャッシュレス比率が約40%とされていますが、実際には口座振替などが集計対象に含まれていないため、利用者の体感とはやや乖離があります。また、日本は“現金文化”が根強く、特に高齢層や地方では依然として現金の方が安心される傾向が強いです。
しかし、現金を扱うコスト──レジ締め、現金輸送、盗難リスク──が事業者にとって負担になってきており、今後キャッシュレス化は不可避だと考えています。近年では自治体・大学など公的機関のキャッシュレス化も進んでおり、業務の効率化や利用者サービス向上につながっています。
―― 導入が遅れている業界や課題は?
井上氏:タクシー業界、冠婚葬祭、神社仏閣などは、文化的・技術的な背景から導入が進みにくい領域です。
たとえば、地方のタクシー会社では高価な機器導入が難しい場合も多いですが、弊社ではレンタル形式で端末を提供することで、少しずつ課題を解消しています。今後も「誰もが使いやすい」「わかりやすい」UIと、ミニマムコストで導入可能な仕組みを通じて、こうした“導入ハードルの高い業界”の支援を継続していきます。
―― 現場からの反応や改善例があれば教えてください。
井上氏:私たちは現場を非常に重視しています。営業社員が積極的に導入現場を訪問し、実際の使い方や課題を観察した上で、プロダクト改善に活かします。例えば、イベントでの活用では「加算ボタンの簡略化」「電卓計算機能」「店側のQRコード読み取り手間削減(KAZAPi-QR)」など、現場の声を反映した機能を追加してきました。
また、「炎天下での端末利用における耐熱対策」など、現場環境に合わせた微調整も行っています。結果的に「年々使いやすくなっている」と好評をいただき、継続的な利用や紹介につながっています。
■未来への展望と技術の進化
―― 今後注目している技術や展望について教えてください。
井上氏:顔認証や静脈認証、社員証・学生証との連携といった「非接触・非言語系」の決済技術には大きな可能性を感じています。ただし、導入には技術面・コスト面での慎重な判断が必要です。私たちは“いきなり最先端”ではなく、現場で実際に機能する「一歩先の技術」を選んで提供するよう心がけています。
将来的には、多様な決済手段が共存する社会を前提に、柔軟に対応できるインフラ構築を目指したいと思います。また、技術導入においても「現場に優しい」ことを重視しており、教育機関でのキャッシュレス自販機導入支援や、ホテル向けのアメニティ自販機のキャッシュレス対応支援など、ニッチながら着実に需要のある分野に対応していきたいと考えています。
―― 自治体・大学などの公的機関との連携は?
井上氏:自治体に限らず、美術館、体育館、公共施設、大学などでの導入実績も増えています。大学生協と連携して、自販機で学生証決済ができる仕組みも構築済みです。職員の福利厚生、観光客向けの利便性向上、住民の支払い簡素化など、多角的な貢献ができる分野として、今後さらに力を入れていきたいと考えています。各施設の業務負担を減らしながら、利用者の満足度を高めるキャッシュレス化の設計こそ、私たちの強みです。
―― 最後に、キャッシュレス導入を迷っている企業や公的機関へメッセージをお願いします。
井上氏:「キャッシュレスは難しそう」「うちには合わない」と思っている方こそ、ぜひご相談ください。私たちは、単に端末を売るのではなく、お客様の悩みに寄り添い、一緒に“最適な導入の形”を考えることを大切にしています。気軽に相談できるパートナーとして、皆様とともに“誰も取り残さないキャッシュレス社会”をつくっていきたいと思います。導入前後のサポート体制や、実際に使用する現場へのきめ細かなフォローアップにも自信があります。
現金が根強く残る日本で、キャッシュレス社会の実現は容易ではない。しかし、大手が見過ごしがちな領域にこそ、真のニーズが眠っている。同社は「現場主義」と「技術のやさしさ」を武器に、粘り強く社会の隙間に寄り添い続けている。
制度、技術、文化──さまざまな壁を越えて、キャッシュレスの恩恵を誰もが実感できる未来は、こうした“静かな革新”の積み重ねによって形づくられていく。そしてその中心には、現場と向き合い続ける人の姿がある。テクノロジーは人を置き去りにするものではなく、人とともに進化するものであると、今回の取材を通して改めて感じさせてくれた。
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