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豊田工業高等専門学校“NAGARA”、企業評価額7億円で最優秀賞受賞!第6回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2025
投稿日 2025年5月17日 00:45:07 (IT 科学)
高専生が日頃培った〈ものづくりの技術〉と、AI(人工知能)分野で特に成果を出す技術〈ディープラーニング〉を活用した事業アイデアで、企業評価額を競うコンテスト「第6回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2025(以下、DCON2025)」の本選が2025年5月9日(金)・10日(土)の2日間に渡り開催された。
豊田工業高等専門学校(チーム名: NAGARA)が、腕に装着することで介護中の会話から記録に必要な情報をマイクを用いて抽出し、自動で記録を作成・共有ができるウェアラブル端末(作品名:「ながらかいご」)で最優秀賞を受賞し、企業評価額7億円という評価を受けた。さらに副賞として、EXPO 2025 大阪・関西万博イベント「XROBOCON」への出場の権利を手にした。
また2位には企業評価額1.5億円の評価を受けた鳥羽商船高等専門学校(チーム名:ezaki-lab)による音とレーザーを活用し、海苔養殖を食害から守るプロダクト(作品名:「めたましーど〜ノリ養殖を食害から守る〜」)が受賞しました。3位には企業評価額8000万円の評価を受けた富山高等専門学校 本郷キャンパス(チーム名:Wider)による育児の負担軽減を目的としたAIカメラシステム(作品名:「Smart Care AI」)が受賞した。
今年は、過去最多となる全国95チーム(42高専)がエントリーし、本選には10チーム(11高専)が出場した。今大会では、歯周病予防システムや海難事故防止システム、バーチャルアーティストの3DCGライブといった課題に取り組むアイデアなど、社会課題の解決からエンターテインメントまで、多様なプロダクトとビジネスプランが出揃った。
■DCON2025 本選結果について
DCON2025では最優秀賞と2位、3位のほか、産業への影響度や将来の期待度が最も高いチームに贈られる「経済産業大臣賞」や、農林水産業の課題解決とした優れたチームに贈られる「農林水産大臣賞」、技術面で優れたチームに贈られる「文部科学大臣賞」、「企業賞」の発表も行われた。
<最優秀賞>
豊田工業高等専門学校
チーム名:NAGARA
作品名:ながらかいご
作品概要:腕に装着するウェアラブル端末
詳細:https://dcon.ai/teams/toyota2025/
企業評価額:7億円
評価コメント:介護という社会課題の大きさに加え、圧倒的な現場感が伝わってきた点を高く評価しています。ITに不慣れな現場でも音声入力は親和性が高く、両手がふさがる状況にも適した実用性の高いソリューションだと感じました。今後さらに現場に寄り添った磨き込みを期待しています。
<2位>
鳥羽商船高等専門学校
チーム名:ezaki-lab
作品名:めたましーど~ノリ養殖を食害から守る~
作品概要:海苔養殖を食害から守るプロダクト
詳細:https://dcon.ai/teams/toba2025/
企業評価額:1億5000万円
評価コメント:海苔の養殖はプレゼン段階ではニッチに見えるが、海の危険や害虫から身を守るというテクノロジーは全然足りていないので、すぐに売上を作ることができそうですし、本当に困っている方を支えるようなプロダクトなので、すぐにスケールするのではないかと期待をしています。
<3位>
富山高等専門学校 本郷キャンパス
チーム名:Wider
作品名:Smart Care AI
作品概要:育児の負担軽減を目的としたAIカメラシステム
詳細:https://dcon.ai/teams/toyama2025/
企業評価額:8000万円
評価コメント:今まで見守りカメラは幼児をメインとしていたが、今回は6歳までということで新しく需要が見出だせるのではないかと思いました。さらに高齢者を含め大人の見守りに応用できるのではないかと思い、今後の成長に期待を込めてこの評価をさせていただきました。
<経済産業大臣賞>
鳥羽商船高等専門学校
チーム名: ezaki-lab
作品名:めたましーど〜ノリ養殖を食害から守る〜
詳細:https://dcon.ai/teams/toba2025/
<農林水産大臣賞>
大阪公立大学工業高等専門学校
チーム名:IdentiX
作品名:Worm Farmer
詳細:https://dcon.ai/teams/osaka2025/
<文部科学大臣賞>
沖縄工業高等専門学校
チーム名:沖縄マリンレジャーレスキュー隊
作品名:海難事故防止の必須アイテムRiCAS
詳細:https://dcon.ai/teams/okinawa2025/
<企業賞>
各協賛企業による企業賞の表彰もありました。協賛企業からは以下のような評価コメントがあった。
■アクセスネット賞:鳥羽商船高等専門学校
完成度が非常に高く、海苔生産者への事前ヒアリングを含む調査の深さに感心しました。鳥の撃退にレーザーと音を活用する発想も素晴らしく、今後は魚への対応も検討できると、さらに完成度が高まると思います。今後の展開にも期待しています。
■NECソリューションイノベータ賞:富山高等専門学校 本郷キャンパス
弊社は「いつかを、いまに、変えていく。 」というコーポレートメッセージのもと社会課題に取り組んでおり、富山高等専門学校の「これからの日本を担う子どもを守る」という想いに大変感銘を受けました。子どもの危険行動サンプルが少ない中で生成AIを活用し危険行動を判定するという発想も非常に興味深く、弊社の技術陣の評価がとても高かった。
■トピー工業賞:茨城工業高等専門学校
落とし物の特徴をAIが判定してトレースする技術は、部品管理が重要な製造業である弊社にとっても応用できるのではないかと感じました。茨城工業高等専門学校の作品を拝見し、一緒に研究したいと思うほど興味を引かれました。
■トヨタ自動車賞:仙台高等専門学校 広瀬キャンパス
歯磨きという誰にでもリーチできるテーマに感銘を受けました。実際に触れてみると非常に軽量で転用の可能性を感じられました。今後の広がりに期待しています。
■日立産業制御ソリューションズ賞:茨城工業高等専門学校
弊社が大切にしている「世の中の安心・安全・快適」というという点で、ニッチながら非常に高い親和性を感じました。また、初エントリーでここまで上り詰めた成功体験を称え、ぜひ賞をお贈りしたいと思います。
■フソウ賞:沖縄工業高等専門学校
弊社は「水を支える企業」として、「見えない水」を「見える化する」という沖縄工業高等専門学校のコンセプトに大変共感しました。自ら処理が可能で、誰もが担える仕組みである点も、今後の展開しやすいと思い高く評価しました。
■松尾豊DCON実行委員長コメント
技術力の高さに加え、ビジネス構想の練り込みも素晴らしく、非常に完成度の高いプレゼンテーションでした。現在、日本国内にはAIやディープラーニングの活用が進んでいない分野が数多く残されており、世界のビッグテック企業もこのような市場への参入を進めています。だからこそ、日本から世界に向けて新たな技術を生み出していくことが重要であり、その主役となるのは高専生だと思っています。
ぜひスタートアップ基金を活用して起業に挑戦し、多くの学びや社会貢献を実現していただきたいと思います。我々も、その挑戦を全力で応援してまいります。
■囲み取材
囲み取材にて、松尾豊DCON実行委員長と、最優秀賞を受賞した豊田工業高等専門学校にお話しをうかがうことができた。
〇高校生が地方創生の主役に!DCON松尾実行委員長が語る「DCON未来」
松尾豊DCON実行委員長は「今回は非常に厳しい審査だった」と、DCON2025を振り返った。最優秀賞の豊田工業高等専門学校は「企業評価額が7億円とおそらく過去最高に評価が高く、「ビジネスプランがすぐれており、プレゼン対策もほぼ完璧だった」と語った。豊田工業高等専門学校の介護事業は、市場が大きく、成長していくカテゴリーだ。「音声認識によるサポートは、今田からこそできる技術であり、非常に的確だった」と評価した。
DCONの未来については「フィジカルAIと高専生との相性は非常によいので、ロボット基盤モデルが扱えるようになると、高専生が新しいアプリを自由自在に作り出してくれるではないか」と予想。「高校生」「地方」という枠に甘えることなく、実用性や将来性を追及すれば、高校生が地方創生の主役になり得るとした。また今年の特徴については、「初出場や他校と共同の高専があり、多様性が広がってきた」とし、結果としてバラエティに飛んだ内容となった。
高校生が地方創生の主役に!DCON松尾実行委員長が語る「DCON未来」
YouTube:https://youtu.be/NtV4APnfLMo
〇豊田工業高等専門学校、圧倒的な行動力とチームワークでつかんだ最優秀賞
豊田工業高等専門学校の代表であるNAGARAの岡田一輝氏は、「非常に嬉しい」と素直な感想を語った。多くの人の支えがあり、その期待を裏切ることなく優勝できたことに安堵しているという。最優秀賞の要因については、「圧倒的な行動力とチームワーク」と分析。学業と両立しながら月に100〜200時間を費やし、わずか数か月で40以上の介護施設を訪問して事業構想を具体化した。それぞれが自分の役割を全うした結果が、最優秀賞の受賞につながったと振り返った。
チームワークについて、メンターの福野泰介氏は「最初から何も言うことなし。素晴らしいチームです」と太鼓判を押した。また、これまでの高専チームとの違いについては「圧倒的にやる気が違う。事前に調べる量も桁違い。『優勝します』と最初から宣言していた」と語り、今後の活躍にも大きな期待を寄せた。
豊田工業高等専門学校、圧倒的な行動力とチームワークでつかんだ最優秀賞
YouTube:https://youtu.be/FHI0Y-gcYG0
■DCON2025本選 全チーム評価額
■DCON2025の様子は、アーカイブを公開中!
「DCON2025」本選の模様は、JDLA公式YouTubeチャンネルで視聴可能です。
視聴URLはこちら:https://www.youtube.com/live/gbulH1etEHU
■第6回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON2025)概要
【概要】
全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)は、高等専門学校の学生が日頃培っている「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用して社会課題を解決する作品を制作し、生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテスト。地域社会の課題解決に取り組む高専生ならではの発想力・技術力を生かした、多様で新規性の高い作品の応募が多数寄せられ、例年複数チームが本コンテスト出場後に実際の事業創出に挑戦している。DCONは未来のものづくりリーダーを発掘し、技術活用・事業創出を促進する機会をつくり、全国の高専生が持つ可能性を支援し続けている。
【DCON2025主催・後援・協賛】
主催:一般社団法人日本ディープラーニング協会、一般社団法人全国高等専門学校連合会、日本放送協会、株式会社NHKエンタープライズ
後援:デジタル庁、経済産業省、文部科学省、農林水産省、渋谷区、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、株式会社日本経済新聞社
協賛:
〈ゴールドパートナー〉
株式会社アクセスネット、NECソリューションイノベータ株式会社、トピー工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社日立産業制御ソリューションズ、株式会社フソウ
〈シルバーパートナー〉
アイング株式会社、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、株式会社QUICK、さくらインターネット株式会社、株式会社セブン銀行、ソフトバンク株式会社、日本ガイシ株式会社、日本電技株式会社、株式会社ビズリーチ、株式会社丸井グループ、三菱電機エンジニアリング株式会社、株式会社村田製作所、ライオン株式会社、ロジスティード株式会社
〈ブロンズパートナー〉
NTTコム エンジニアリング株式会社、小町 洋(CDLEメンバー)、Biodata Bank株式会社、有限会社ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所
協力:株式会社iSGS インベストメントワークス、株式会社ABEJA、株式会社イクシス、インキュベイトファンド株式会社、株式会社WiL、SBI Investment、MPower Partners Fund L.P、クウジット株式会社、Google、Google Cloud、QXLV(クオンタムリープベンチャーズ)、connectome.design株式会社、さくらインターネット株式会社、株式会社jig.jp、株式会社Shiftall、Spiral.AI株式会社、株式会社先端技術共創機構(ATAC)、tiwaki Co., Ltd. Japan、株式会社ディープコア、東京大学大学院工学系研究科、株式会社ドワンゴ、ニューラルグループ株式会社、100BANCH、FastLabel株式会社、株式会社フォトシンス、富士ソフト株式会社、フラー株式会社、株式会社ブレインパッド、Headline Asia、ボストン コンサルティング グループ、みんなの高専チャンネル(高専塾ナレッジスター運営)、株式会社モルフォAIソリューションズ、株式会社Liaro、株式会社Ridge-i、学校法人早稲田大学
<DCON2025公式メディア>
公式HP:https://dcon.ai/
Facebook:https://www.facebook.com/DCON123/
X(旧Twitter):https://twitter.com/DCON_JDLA
DCON実行委員会は、今後もDCONの継続的な開催によりディープラーニングの産業活用を促進する若手人材の輩出を目指し、引き続き本コンテストの運営にあたっていくとしている。このため、第7回大会「DCON2026」の開催を決定している。開催概要につきましては、DCON公式ホームページにて随時詳細を案内する。
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